生前贈与による相続税対策
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「生前贈与」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。被相続人の生前中に財産を贈与することで、相続税の課税対象となる財産を減らし、相続税の節税を図る方法です。相続税の節税対策として広く知られており、金額やタイミングなどに注意する必要がありますが、比較的簡単にできるのが特徴です。
生前贈与を活用した節税対策にもいくつか種類があるため、以下で4つの方法をご紹介します。
■1.暦年課税による贈与
個人から個人への贈与には贈与税がかかります。贈与税には、暦年課税と相続時精算課税という2つの課税方式があります。相続時精算課税については後述し、ここでは一般的な課税方式である暦年課税による贈与についてご紹介します。
暦年課税は、1年間(1月1日から12月31日まで)に贈与された財産の合計額をもとに贈与税額を計算する方式です。暦年課税の場合、基礎控除額が定められており、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下だと、課税されません。
ポイントとなるのが「贈与は何回でもできる」という点です。暦年課税の基礎控除は、「財産をもらう人一人当たり110万円」で、各人が「年間」で利用できます。すなわち、各人に年間110万円以下であれば、何人に対して贈与しても課税対象とならず、また、ある相続人に毎年110万円を与え、それを5年間続けても(トータルで550万円)、贈与税はかかりません。
贈与と認められるように契約書を交わした方がよい点や、定期贈与とならないように工夫する点など、注意点はいくつかありますが、非常に簡便な節税対策といえるでしょう。
■2.配偶者への自宅の贈与
婚姻20年以上の配偶者に、居住用の不動産や、居住用の不動産を取得するための資金を贈与する場合は、暦年課税の基礎控除額とは別に、2,000万円を控除できる制度があり、これを贈与税の配偶者控除といいます。
この特例制度を利用するには以下の条件を満たす必要があります。
・夫婦の婚姻期間が20年以上
・贈与を受ける者に居住用不動産(敷地のみでも可)または居住用不動産の取得資金を贈与すること
・贈与の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、その後も引き続き住む見込みがあること
・同じ夫婦間で、この特例をこれまでに利用したことがないこと
なお、この配偶者控除を相続税の節税対策として用いる際は、不動産の贈与には別途、不動産取得税や登録免許税がかかることに注意が必要です。
■3.子や孫への教育資金、結婚・子育て資金の贈与
父母や祖父母などの直系尊属から、子どもや孫などに対して、教育または結婚・子育てに使途を限定した資金を、一括贈与しても贈与税が課税されない制度です。
教育資金の一括贈与か、結婚・子育て資金の一括贈与かで、非課税限度額(前者は子どもや孫1人当たり最大1,500万円で、後者は1人当たり最大1,000万円)や、財産をもらい受ける者(受贈者)の要件などの各要件がところどころ異なりますが、共通している部分も多くあります。両者を併用することも可能で、大きな節税効果が期待できます。
■4.相続時精算課税制度による大型贈与
相続時精算課税は贈与税の課税方式の一つです。60歳以上の父母ないし祖父母から、20歳以上の子どもまたは孫への贈与が対象です。この制度には2,500万円までの特別控除があり、一度にまとまった贈与が可能です(2,500万円を超える部分は一律20%)。特別控除分は贈与時には非課税ですが、相続時に相続税に加算して相続税で精算することになります。
この制度の活用による節税は工夫が必要で、暦年課税よりも利用しづらい制度ですが、例えば、将来値上がりしそうな株式や土地などの贈与、アパートやマンションなどの収益性の高い物件の贈与などに活用すれば、相続税を軽減することができます。
どのような方法で節税対策をするかお悩みの際は、税理士等に相談することをおすすめします。
荒木達也税理士事務所は、世田谷区、目黒区、港区、品川区、新宿区を中心に、一都三県や茨城県における相続に関するご相談を承ります。
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